娘の幼稚園でも娘のクラスとは違うクラスで「コロナ陽性者」が見つかったらしく、とりあえず全園休園し、全園児がPCR検査を受けることとなった。
　昨今の感染者急増の影響もあるのか、検査結果が出るまで数日掛かり、娘や我々家族も自宅でおとなしくしていた。

　万が一のことを考えて、いくつかの習い事も、結果が出るまでは休みにした。
　習い事の場所は、同じ幼稚園の園児だけが通っているわけではないにも関わらず、ほとんど誰も習いに来なくなったようだ。
　どうやら、他の幼稚園でもコロナ陽性が出ていて、辺り一体で「自己自粛」が始まっているようである。
　結果的に娘のPCR検査の結果は陰性だったのだが、幼稚園が再開されても、数日は休んでる状態だ。

　この一連の流れの間、「誰が感染したのか」というような「感染者探し」の噂話が出てくるのは、人間社会である以上、ある意味仕方がないことである。
　一方、「知ってしまった情報」はいたずらに人には伝えられないし、伝える必要もないのだが、伝えないことによって人間関係がギクシャクしてしまうこともある。

　娘の幼稚園では、最初に陽性者が出たクラスは園児全員が濃厚接触者扱いとなり自宅待機となったのだが、他のクラスは「とりあえずPCR検査を受けておきましょう」という対応をしていた。
　情報提供がクラス別だったので、陽性者が出なかったクラスの園児やその親には「自宅待機」の指示もなく、検査結果を待っている間も基本的には自由であった。つまり幼稚園の他のクラスの園児が全員濃厚接触者で自宅待機になっていることは知らない。

　我が家では、陽性者が出たクラスで濃厚接触者扱いになっていた園児の一人とその親御さんと仲が良いので、そのクラスの状況を聞いていた。
　聞いてしまった以上想像力だけは働き、場合によっては、うちの娘も濃厚接触者になってしまう可能性もあるのかもとか、PCR検査の結果が陽性の可能性もあるかもなんて推測していた。そんなこともあって、家の中にずっと閉じこもっていたわけである。

　しかし、情報をいたずらに別の親御さんに伝えるわけにもいかず、ひっそりとしていたところ、娘と同じ習い事に通うお友達は普通に習い事に行っていたようだ。
　休んだ理由を聞かれても「濃厚接触者になっている可能性があるから」とも今さら言えず、適当にごまかすことになってしまった。

　結果的に、濃厚接触者にされていた園児も、うちの娘も、同じ習い事のお友達も、全員が陰性で事無きを得たが、なんともはや人間関係にまで苦しむ期間であった。

　コロナくん、いい加減にしなさい。

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